
こんにちは!ツナグ不動産事務所の松永です!
これから土地やお家を探す方や、今まさに検討中の方へ。
一見地味だけど実は超重要なテーマ、境界線問題についてお話します。
「お隣さんとの境界がブロックの真ん中になっている場合」についてです。
境界とは、自分の土地とお隣さんの土地との境目(隣地境界)や道路との境目(道路境界)のことです。
昔は、境界のしるしを板塀や垣根を設置して表していました。
しかし、板塀や垣根は何年か経つと腐ってしまったり動いてしまったりします。そこで、今では境界石やコンクリート標といった境界標を埋設したり、住宅地ではブロック塀やコンクリートなどに直接打ち込める金属鋲を使って表示することが多くなりました。
分譲地などでは、境界をブロックで仕切っていることが多いですね。
そして、まだまだお隣さんとの境界がブロックの真ん中にある場合も多いです。
こんな感じに ↓

最近の分譲地では、ブロックをどちらかの土地に作り、ブロックの所有者が1軒にすることが増えていますが、まだまだブロックの真ん中が境界になっている物件は多くあります。
では、お隣さんとの境界がブロックの真ん中にある場合、そのブロックにフェンスを勝手に造ってもいいの?
ブロックの真ん中に境界がある場合、なにか問題になることあるの?
そして、その他境界についてのトラブル事案もご紹介します。
これを読めば、お隣さんとの関係を円満に保ちながらトラブルを避けるコツがわかります!
境界がブロックの真ん中にある場合 勝手にフェンスは作れるの?

答えは、NOです。
- 境界がブロックの真ん中にある場合、そのブロックはお隣さんと共有物となります。
- そのため、何か手を加える場合は、お隣さんの了解を得なければなりません。
- 設置費用やデザイン、維持管理についてもしっかり話し合い、文書にして残すことが大切です。
後々問題にならないために、何十年後かの遠い未来(お子さんやお孫さん)にフェンスのことでもめたりしないためにも、文書にして残しておくのがベストだと思います。
「覚書」・「合意書」と言われているものですね。
どんな内容を書いておけば安心なのかをご紹介します。
「覚書」・「合意書」の内容(例)
項目 | 内容 | 簡単にいえば |
設置場所 | フェンスを境界線上に建設すること | (このフェンスは境界の上に建設しようね) |
設置費用の負担 ・所有区分 | 費用を折半した場合、所有権も共有である旨を記載 | (設置費用は折半ね。そして所有割合も半々ね。) |
維持管理区分 | 維持管理及び修繕費用は折半であること | (維持費や壊れた時の費用も半々ね。) |
再築 | 再築する場合は協議をすること | (将来再築するときはその時に話し合いしましょうね。) |
という内容を記載しておけば、将来安心だと思います。
一例として作成してみました。
これは、あくまで参考です。
それぞれの状況にあった文章を足したり、引いたりして作成してくださいね。

※もし、ご自分で好きなようにフェンスを作りたい場合は
今あるブロックの内側(自分の敷地内)に、新しくブロックを積んでフェンスを作ることになります。
土地が少し狭くなりますが、その方が気兼ねなく出来るなと思う方におススメします。
ブロックの真ん中が境界の場合、なにかトラブルになることある?
一番初めに思い浮かぶのが
ブロックが壊れたり傾いたりした場合、誰が直すのか?
という事です。

ブロックの補修は、共有物ですので、お隣さんと半分ずつ出し合います。
ただ、お隣さんが費用を出すことを拒否された場合はなかなか難しいものとなります。
長年良好なご近所付き合いをされている方ばかりではないと思います。
お隣さんが引っ越して別の方になっているかもしれませんし…。
また、ブロックの色やデザイン、高さなどもお隣さんと話し合いが必要となってきますので、ご自分の好きなようには作れないという事はあります。
- ブロックが壊れた場合:補修費用を誰が負担するか
- デザインの不一致:色や高さなどで意見が食い違う
- 所有者の変更:お隣さんが引っ越して新しい住人と再交渉が必要になる
デメリットばかり書きましたが、もちろんメリットもあります。
メリットもあります!
- 施工費用が半分になる。
- 土地が広く使える。
メリット・デメリットを考えてより自分に合うようにしましょう。
知っておきたいトラブル事例
境界標がなかったためのトラブル
例えばこんな事例があります。(法務省ホームページより参照)

- お隣との境に10年くらい前まで板塀があったが、
- 腐食が激しいので取り壊してそのままにしていました。
- 最近になって、お隣が何の相談もなく境に垣根をつくりました。
- どう見ても斜めに曲がっていてわたしの敷地を越境しているように思える。
- そのことを申し入れましたが、お隣は一向に聞き入れてくれません。
- そこで、航空写真を取り寄せ、昔は直線であったことを主張しました。が、
- らちがあかず気まずい思いをしています。
板塀を取り壊す前に境界石を入れておけばこんなことにはならなかったのにと悔やんでいます。
このような場合、航空写真などで証拠を示してもトラブルになることがあります。
このような事例は、数多くあると思います。
以前は、土地の境界を特定するための手段として、塀や垣根の設置をしていました。しかし、相続で代替りしたり大規模な宅地造成が行われたりしたために、その目印がなくなったり、動いてしまい境界が失われてしまう場合があります。
不動産登記法施行規則では、土地の分筆の登記の申請などの際に提出する地積測量図の図面上に境界の位置関係を表示すべきことになっています。
この位置関係を明確に表示するのが境界標というわけです。
境界標には永続性のあるものを
測量の際には通常木杭が打ち込まれますが、これはあくまで仮のもので、何年か経つと腐ってしまったり動いてしまったりします。
最も有効な手段は、境界石やコンクリート標といった永続性のある境界標を埋設することです。
都市部のように住宅が密集し、境界標を地中に打ち込むのが困難な場合は、ブロック塀やコンクリートなどに直接打ち込める金属鋲を使って表示することもできます。
境界標を設置しようとする場合は、最終的には登記と結びついてきますので登記に関する調査・測量の専門家である土地家屋調査士に相談・依頼するのがよいでしょう。
※登記とは…法務局の登記簿に、土地や建物の大きさや所有者を登録し、おおやけに示すことを登記すると言います。登記することによって権利を主張できます。

境界を超えてきた木の枝は、勝手に切ってもいい?
『境界を超えてきたお隣さんの木の枝、勝手に切ってもいいのか?』
答えは、NOです。
すでにご存知かもしれませんが、
原則は、お隣さんから侵入する木の根っこは勝手に切ってもいいが、枝はお隣さんに切ってもらうです。
例としてよく上げられるのが、竹です。
地面を越境してきたタケノコは勝手にとってもいいけど、越境してきた竹の枝や葉は勝手に切ると違法になるという事です。
ただし、
2023年4月から民法が改正され、以下の場合は枝を切ることができます!
以下3つのいずれかに該当する場合は、越境した枝を切ることが法律上可能になります。
- 「催促したのに切除されない」
枝を切ってくれ、と催告したのにいつまでも切除されない。
樹木の所有者に枝を切ってくれ、と催告する。それでも「相当の期間」切除されないのならば、越境された側が枝を切ってもかまわない、と改正された。 - 「所有者が不明。または連絡が取れない」
竹木の所有者が不明。または所有者はわかっているが連絡先が不明。
隣が空き地や空き家となっていて誰が所有者か不明の場合などが該当します。 - 「急迫の事情があるとき」
差し迫った場合。具体的には「地震により破損した建物の修繕工事用の足場を組むために、隣地から越境した枝を切る」といった場合などを想定しているそうです。
土地の境界トラブルで困ったときの相談先
土地の境界をめぐるトラブルは、裁判で解決するしかないと思っていませんか?
境界トラブルに巻き込まれた場合、法務局の筆界特定制度や、土地家屋調査士会のサポートを活用するのが一つの手です。
法務局が行っている「筆界特定制度」を活用すれば、裁判をしなくても、境界トラブルを早期に解決することができます。
「筆界特定制度」…https://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html
また、土地家屋調査士会では土地家屋調査士と弁護士が当事者双方の話し合いを通じて、裁判によらない柔軟な解決をサポートしています。
下のチラシは、静岡県の法務局・土地家屋調査士会が行っているものになります。参考にしてください。

参考ホームページ
法務省 筆界特定制度→https://www.moj.go.jp/MINJI/minji104.html
政府広報オンラインページ→https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201112/3.html#gotoPageTop
静岡境界紛争解決センター→https://www.shizuoka-chosashi.or.jp/ADR/
ちなみに訴訟を起こす場合
境界確定訴訟は、境界に関する隣人同士の争いを解決する訴訟手続きになります。
基本的には民事訴訟の原則的な手続きに従って審理されますが、判例・実務慣行上、境界確定訴訟は以下のような特殊なルールが認められています。
- 土地が共有の場合は、共有者全員を当事者とする必要がある
- 裁判所は原告・被告の主張に拘束されることなく、独自に境界を決定する
- 和解・調停は不可
- 勝訴・敗訴の概念がないため、訴訟費用は当事者双方が負担する
境界確定訴訟にかかる期間は、争点の複雑さや数などによって幅がありますが、おおむね2年程度かかることが多いようです。
境界確定訴訟にかかる費用は、主に「測量費用」「弁護士費用」「裁判所に納付する費用」になります。
「測量費用」は、土地の広さや測量が必要な範囲などによって異なりますが、おおむね30万円~50万円程度が必要となります。
「弁護士費用」は、多くの場合「着手金」と「成功報酬」の二段階制が採用されており、着手金が30万円~50万円程度、成功報酬が60万円~100万円程度の範囲に収まるのが一般的です。
「裁判所に納付する費用」は、印紙代と郵便費用があります。印紙代は、訴額に応じて決定されます。1,000万円の訴訟額で5万円となります。
上記の金額はあくまで参考金額となります。ご了承ください。
まとめ
境界線問題は、お隣さんとの良好な関係を保つためにとても重要です。勝手にフェンスを作らず、しっかり話し合いと文書での合意を大切にしましょう。そして、問題が起きたときには専門家に相談することが賢明です。
皆さんも、境界線について、今一度確認してみてはいかがでしょうか?トラブルを避けるための第一歩です!
静岡中部の不動産購入・土地・中古住宅・マンション・建売の購入・不動産売却・土地・中古住宅・マンションの売却をお考えの方は、ぜひツナグ不動産へお気軽にお問い合わせください◎
(もちろん、しつこい勧誘や営業は一切しませんのでご安心ください\(^o^)/)