事故物件とは心理的瑕疵物件(しんりてきかしぶっけん)とも言い、目に見えた瑕疵(キズや故障、欠陥)ではなく、心理的に抵抗が生じる恐れがある事柄が過去に起こった物件のことです。
皆さんは事故物件、心理的瑕疵物件って聞いたことありますか?
物件の購入を検討している方にとっては、相場よりもだいぶ安い物件を見つけると飛びつきたくなる気持ちになりますが、なぜ相場より安いのか?
とも思いますよね?!
これってもしかしたら事故物件?なんてことも頭によぎります。
そもそも『事故物件』、心理的瑕疵物件というのはどのようなことを指すのか?定義とはあるのか?
自殺や他殺以外に病死があった場合にも事故物件になるのか?
広告されているものに記載してあるのか?
仲介などの不動産業者がちゃんと教えてくれることなのか?
疑問に思っている方もいるのでは?と思ったので改めて調べてみました。
住んでみたら実は知らない情報があった、、、
不動産の取引においては「契約不適合責任」という民法の規定が適用されます。
簡単にいうと、対象物件が契約内容に適合していない場合には、契約解除や損害賠償等の請求ができるといったルールです。
契約不適合責任は、令和2年4月に改正される前の民法に規定されていた「瑕疵担保責任」に相当する新たな規定です。
そして、不動産における瑕疵は大きく分けて4つの種類に分類できると言われています。
・物理的瑕疵…雨漏りや強度不足など、建物に問題があるケース
・法律的瑕疵…建築法上の制限で家が建てられないなど法的な制限
・環境的瑕疵…近隣に工場があり騒音問題があるなど
・心理的瑕疵…住むうえで心理的に嫌悪感がある場合
このように、心理的瑕疵は、その物件に住むうえで心理的な嫌悪感があるような事情をいいます。
土地や建物を購入するとき、その物件の情報資料を不動産屋さんから教えてもらいますよね?!
その時の告知義務の一つとして『心理的瑕疵』も含まれます。
想像しなかった事例
例えば「夜間の交通量が多く、深夜でもうるさい」「西日が当たり過ぎて夏はエアコンが切れない」などは購入する前にお客様がご自身で確認することができます。
確認はしたけど想像以上だった、という場合もあるかもしれませんが、その場合、住みながらなんとか対応するしかないことが多いでしょう。
ただ、音に関しては徐々に慣れることもあり、西日があたり温度が高くなることに関しても夏は大変だけれど、冬は暖かいといったメリットもあります。
なので、一概に問題点とは言い切れません。
しかし、次のような「想像しなかった事例」はどうでしょうか。
・過去に自殺や殺人事件があった物件であった
・事件を起こした犯人が前に居住していた物件だった
このような事例はまさに想像もしなかったことであり、自分だけでは対応できないことが多いです。
特に、過去にその部屋で起こったことについては、将来的に解決することは難しいですよね。
そのうえで過去に生じた事件の内容などを近所の方に聞かされれば、心理的な不安は強くなり「どうして購入前にその事実を教えてくれなかったの!?」というトラブルに発展しないように注意が必要です。
相場よりだいぶ安く設定されている物件にはなんらかの購入されない理由があるので、販売している不動産業者に問い合わせてみた方が賢明と言えます。
これは事故物件なのか?
事故物件については法律上明確な定義があるわけではありませんが、一般的に人の死に関わるような事故が起きた物件をいうことが多く、具体的には次のようなものが挙げられます。
事故物件を代表する事例としては、その部屋で「自殺」や「殺人事件」が起こったケースです。
不動産取引においては、こうした事故が起きた物件は大きな問題があるとされ、安値で取引されることが多いです。
また事件現場が大々的に報道されてしまうと、噂も広まり、その部屋はなかなか買手がつかなくなります。
最近では「事故物件」を検索できるWEBサイトも存在し、自殺や他殺が起きた場合は、インターネット上に情報が出回ってしまうこともあります。
孤独死なども心理的瑕疵物件に含まれます。
孤独死は単世帯化が急増している現代社会において決して珍しいことではありません。
一般に孤独死が生じた物件が事故物件と呼ばれるのは、亡くなってから発見されるまで時間が経ってしまったケースです。
時間が経つと遺体の跡などがマンションに残ってしまい、床に痕跡や室内に臭いが残ることもあります。
反対に孤独死であっても発見が早く、すみやかに遺体が移送された場合は、事故物件とは言われないようです。
また、家族が同居している病死であっても、家族がその遺体を放置したような場合は、事故物件といわれることがあります。
事故物件に該当するケースをまとめてみると
- 物件で前の居住者が自殺した
- 物件で最近殺人事件があった
- 物件で前の居住者が孤独死して発見が遅くなった
- 物件で前の居住者が火災によって焼死する事故があった
個別の物件で発生したものでなくても、同じマンションの隣室や共用部分で発生した事件なども事故物件と判断される可能性があります。
告知義務とその方法
不動産の取引では、対象となる物件に心理的瑕疵がある場合には、売主や仲介業者は、買主さんに対して、これを説明する義務があり、これは一般に告知義務といわれます。
告知義務の内容としては、重要事項説明書への記載と契約者への告知があります。
契約者には、真実を告知しなければなりません。
事故物件であることを知りながら隠したり、嘘を伝えて契約させようとする行為は禁止されています。
広告に『※告知事項あり』と表記されている場合もありますが、広告に記載しなければならないという法律はありません。
物件の概要が載っているページの記載内容に「告知事項あり」「心理的瑕疵あり」などが、備考欄に載っています。
物件概要に「事故物件」と記載されていることはほとんどないので覚えておいてくださいね!
告知義務の定義も少し難しく、いったい何年前の出来事まで告知すればいいのか?
調べてみたところ、
例えば、賃貸物件のケースですが、賃貸物件内で自殺が生じたといった場合に、その後に入居した賃貸人が極端に短期間で退去したといった特段の事情のない限り、その後に入居した賃貸人に対しては自殺に関する告知義務はないとした裁判例がありました。
これはかなり極端な例だと思いますが、土地の売買に関する過去の裁判例で、約50年以上前にその土地上の建物で起こった凄惨な殺人事件について仲介業者の告知義務を認めた事例もあるそうです。
50年前にあった出来事を告知義務にするって、、、ちょっと極端な気がしますが、この事例の場合はそれぐらい心理的に作用する事情だったということなんですね?!
具体的な事実から、その人に与える影響が大きいほど、売主や仲介業者に課される告知義務が加重されている。ってことなんです。
このように、現在では告知義務の有無や期間に関しては、具体的な事情によって判断するしかなく、一律に判断できるものではない、ということでした。
国交省より、「人の死の告知に関するガイドライン」が、2021年10/8に発表されました!
内容を要点としてまとめたものです↓
【要点】 売買において
① 告知しなくてよいもの ・自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)。
※事案発覚からの経過期間の定めなし。
・ 対象物件の隣接住戸や日常生活において通常使用しない集合住宅の共用部分で発生した
上記以外の死 ※事案発覚からの経過期間の定めなし。
賃貸の場合は、自殺等でも3年経過すれば告知しなくてもよいが、売買は決まっていない。
② 調査方法 近隣住民への聞き込みやインターネットでの調査の必要はない。
告知書にて記入してもらう。
事故物件の売却相場
事故物件の売却相場は、事情や状況によっても変わるため、一概に言えない部分もありますが概ね以下のような割合で算出することが多いみたいです。
仲介でスムーズに売却が進んだ場合の価格だと思ってください。
◆他殺事件が起こってしまった物件・・・同等の一般的な物件の5割程度
◆自殺者が生じた物件・・・同等の一般的な物件の7~8割程度
◆孤独死が発生した物件・・・同等の一般的な物件の8~9割程度
これらの相場は、物件の状態や状況によっても大きく変動しますし、売り方や不動産業者によっても、また大きく異なるので参考としてご覧くださいね!
仲介業者は媒介契約を結んだ売主さんからの情報を元に広告を作り、その物件に問い合わせがあったら内容を説明したり、内覧のご案内をします。
まずは売主さんからじっくりとお話を聞き、情報をいただき、そして不動産のプロとして、売り方のアドバイスや金額の設定のための市場調査なども調べて金額を設定していきます。
売主さんが相談しやすく、ご家族の内情も話しても大丈夫だ、と思う信頼関係が大切です。
その上で、
真剣に購入を検討されている買主さんに、物件の紹介や情報の開示をして、納得、安心して物件を購入してもらいたいと思っています。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
少しでもお役に立てたら幸いです。